[PR]口が臭う人の共通点…:臭いが見える対策は?
GLAN SENADO
STORY1 暗黒街の少女
「大変だ!高尾議員が殺られた!」
多くの関係者や警察の居る中での大胆な犯行だった。男は人々の頭上から飛び降りて来たかと思うと、建物から出てきた所の国会議員
を切り裂き、致命傷を与えて飛び去った。後には頭から血を流して倒れた死体が残った。
情報は優秀な若手議員八木勇男の書斎にも届いた。
「ついにこの時が来たか・・・」
彼の隣には実験用の白衣を着た、痩せこけた老博士が立っている。
「あれを使いますか」
事件の数日前、ネットに犯行予告がなされ、警察は警戒を強めていた。が、犯人は非合法な人体改造を施されており、警察の捜査網を
かいくぐって行方をくらました。ロボット工学の進歩・普及と同時に、数年の間に改造人間による凶悪犯罪は増加の一途をたどり、警察は
手をこまねいていた。
捜査一課の加賀見刑事はぼやいていた。
「奴らを殺さずに捕まえる方法があるのか?」
お茶くみの婦警が言う。
「こっちの命がいくつあっても足りませんよ・・・、でも人体改造はゴメンですよ、怪物と闘うために、怪物になりたくはありませんから」
「当然だ!」
刑事は湯のみをデスクに叩きつけた。お茶がはね返り、袖を濡らした。
高尾議員は多額の献金で私腹を肥やし、脱税や収賄、公職選挙法違反など疑惑の多い汚職議員であり、反体制派にとっては格好の標的だった。
タンクトップに覆面姿の男が、現場から離れたビルの屋上から警察の捜査を眺めていた。立ち並ぶ高層ビル群の光が都会の繁栄を物語る。
しかしこの都市のもう一つの姿は地上にかけて落ちる闇にあった。生活に浸透していくロボティクス、ユビキタス・ネットワークが富裕層の
消費を促進させる一方で、差別・貧困・公害病などが人々に不満を与えていた。
灰色の目をしたその男も、途上国からこの豊かな国に流れ込んできた移民だった。様々な職種を転々とし、結局失業者になった。不十分な設備
で体をいじくられ、いつの間にか過激派テロ組織に雇われる。そして今日を迎え、戻れない所まで来てしまった。彼はただ命令されただけだ。
彼も少ない報酬のため人を殺す途上国の無産階級の一人だ。
狙撃や爆破によって殺す事も考えてはいた。しかしそれでは銃弾や爆発物から足がついてしまう。切り口だけからではナイフの購入者を特定
する事は難しく、事件後のリスクは少なかった。
男は自分の故郷の風景を思い出していた。汚れた建物、すえた臭い、ブラックマーケット、ストリートチルドレン・・・。
その頃、ヘリまで投入した警察の追跡が急に止んだ。捜査一課では興奮した加賀見刑事を同僚達が抑え込んでいた。
「離せ!俺は一人でもホシを捕まえに行くぞ!警察の意地を見せてやる!!」
「落ち着け、加賀見!」
「みすみす人殺しを野放しにしたまま、警察は一旦手を引けというのか!都民の、いや国民の安全はどうなる!?」
「あっ、課長!」
黒ぶちメガネの課長が騒ぐ刑事達の前を通りかかる。
「課長、拳銃の使用許可を!」
「その必要は無い」
部屋が静まりかえる。
「しかし、ここであきらめては・・・」
「いや、違う。わしらが行っても邪魔になるだけだ」
ビルの屋上に強い風が吹いていた。男はふと気配を感じて後ろを振り向いた。人影が、ゆっくりと、しっかりした足どりで近づいてくる。
男は目を細め、威嚇する姿勢をとった。
「誰だ!」
警察か、いやそんなはずは無い。追跡はまだこの地区まで及んでいないはずだ。それに相手は一人のようだ。別の組織か。しかしこの国に
FBIのような特別な組織があるなどとは聞いた事が無い。
姿を認識出来る距離まで近づいて、相手は立ち止まった。月明かりに照らされた揺れる髪、胸、脚・・・、鼻筋の通ったシャープな、まだ
あどけない顔の少女だった。
男から肩の力が抜け、表情が緩んだ。それでも少し違和感があったのは、真夜中になぜこんな所に人がいるのかという事と、彼女が光を反射する
体の線の出たスーツをまとっている事だ。無機質なコンクリと鉄骨の空間に似つかわしくないその美しさに一瞬、ナイフを持つ右手に力がこもった。
「なんだ、嬢ちゃんか・・・」
「!」
少女は急に駆け出し、手を振り上げて男に殴りかかってきた。男はそれを間一髪でかわした。少女は屈むことによって速度を抑えた。
細い腰と肉付きのよいヒップから伸びる長い脚。男は振り返って自分を見上げた少女の目が光ったような気がした。
main
[PR]当たる!無料占いで仕事鑑定:大人気!無料占い『スピリチュアルの館』